全日本空手道剛柔会指導要項は、流祖宮城長順先生の教えを受けた空手道剛柔会剛柔会々祖、山口剛玄先生によって統一され、現最高師範山口剛史範士に引継がれてから、より体系化されると同時に武道的気概を目的とする心、気、体の高揚をめざして、更成る研究がなされている。
 剛柔会の指導は、高段者研修会(五段師範以上)、指導者研修会、有段者研修会等、資格別による研修会の他に道場、クラブでの通常クラスがある。その他に高齢者を対象とした、健康、呼吸法空手道、コミュニティーカレッヂ等のクラスもある。
 指導内容は、空手道技術はもちろん、呼吸気功法等多面にわたる修業科目を有し、競技空手道のみに止まらず、生涯精進空手道としての求道心を育てるのに役立てたいと考えている。
又少年を対象としたクラスは、団体活動を通しての社会性モラルを身につけ、演武会、競技会参加によるチャレンジ精神と自己向上の意義を知らしめたいと願っている。
 剛柔会の基本練習は、予備動作である拳の握り方、用意の仕方・蹴り方につながる様の使い方等から始まり、七つの基本、「立ち方」「構え方」「受け方」「突き方」「打ち方」「当て方」「蹴り方」に入る。
 基本には型で使用する技と競技、自由組手等で使用する技とに分けられる。移動も基本動作を用いた運足と組手攻防を考慮した転身、捌きによる動作とがある。
 型は「基本型」「普及型」「開手型」「持定型」と分ける。「基本型」には三戦、転掌がある。転掌は「開手型」として「開手型」の後に行う場合もあるが、本会では「基本型」して“剛”と“柔”との対を為している。「普及型」は体極の型十種と撃砕第一、第二から成る。「開手型」は砕破、制引戦、十八手、三十六手、四向戦、久留頓破、壱百零八手の八橦、「特定型」は師範を対象とする型で演武者の意志を重視し、一般への指導、競技での使用を禁じている。玄鶴、地鶴等四種から成る。
 組手は基本組手、約束組手、自由組手等多種にわたる練習法がある。いずれも相手を置いての攻防の練習であるが、基本における留意点の他、相手との間合い等、更に高難度が求められる。型の解読を相手を伴って組手として行う方法に、「型分解組手」と「分解型組手」がある。「型分解組手」は型の部分動作を分解解説して、その意味を組手で攻防する。「分解型組手」はゲキサイから全ての型の演武を応用組手として二人で通して行う方法で型に用いる技法を実際に組手で応用する型の実戦的練習法である。
 剛柔流の練習の中で最も大切なのは基礎体力作りと呼吸法である。基礎体力作りは基本で反復や三戦等の型練習によって向上させることも出来るが、独自の方法をもって空手道に適した体力作りを心掛けねばならない。基礎体力とは、筋力、持久力、柔軟性等が強度の空手道修錬に耐えられる為の基礎的な体力作りと、更に強化された堅固なる骨格養成をめざして各種の運動、補助運動(器具を用いる運動)を行うとよい。
 呼吸法は「息吹」と呼ばれ、腹式による意識呼吸で陽・陰・半陽陰で表現し、柔法、剛法、剛柔法、静動法を以て型等の演武を行う。
動作と呼吸法の意識集中は気功練習へと繋がる。
 三戦、転掌の型は立禅とも云われ、三戦立での呼吸による静止体は剛柔流極みの「天地人」の心境に通ずる。