日時:2001年11月30日(金)−12月2日(日)

場所:オーストラリア・パース市・エンターテインメントセンター

主催:国際空手道剛柔会

南半球のきれいな海と澄みきった空の下、第3回空手道剛柔会世界大会がオーストラリア・パース市で開催された。9月11日に起きた米国テロ事件の影響が懸念される中、関係者の心配をよそに世界5大陸から約600名の選手が集い、4年に一度の覇権をかけて壮絶なバトルが繰り広げられた。

  

未来を担うジュニア選手達が大活躍!女子団体組手は4年前の雪辱を晴らす。

大会初日、日本からは17名のチビッコ選手が参加した。各国の応援合戦が国際大会独特の雰囲気をかもし出す中、少しも怯むことなく全員が勇敢に戦い、14才以下の全12種目中、8種目で優勝を飾る大活躍を見せた。

夕方には開会式が盛大に催され、井上貴勝氏以下琉球古武術保存振興会の師範達と、山口剛史会長による迫真の演武が大会を盛り上げた。

開会式の興奮覚めやらぬ中、競技が再開され女子団体組手で日本は前回大会で敗れている天敵ハンガリーと準決勝で対決した。まず、先方の稲田優貴が怒涛の攻めで大金星をあげる。中堅桜井礼子は惜しくも接戦の末敗れるが、長尾悠子が危なげなく勝利を収め、事実上の決勝戦ともいえる大一番を制する。決勝でもインドネシアを3−0で下し優勝した。

男子団体組手は、外人に滅法強い超攻撃型の先方長崎勝、今年の全国大会覇者の中堅橋山晶洋、日本の守護神である大将斎藤彰宏の3名。長崎と橋山は小柄ながら長身の外国人選手をスピードで翻弄、斎藤がとどめをさすという「勝利の方程式」で圧勝、日本の実力を強くアピールした。

男子団体組手準決勝 先鋒戦 長崎勝選手

男子団体組手決勝 中堅戦 橋山晶洋選手

男子団体組手準決勝 大将戦 斎藤彰宏選手

波乱の男子型!伏兵鴨川が日本を救う。個人組手はゴールドラッシュ。

今大会は新WKFルールが採用され、型は3人による旗の判定になったため油断ができない。大会2日目、男子型のエースで、今回もっとも優勝が確実視されていた山田健剛が準決勝で敗れる大波乱が起きた。南アフリカのントゥラマとの対決、誰もが山田の勝ちを予想したが旗は無情にもントゥラマに。「日本が型で敗れる」そんな悪夢が現実化しようとする中、反対側ブロックから決勝の舞台に登場したのは伏兵鴨川直人だった。決勝では双方硬さが見られたが、2対1で鴨川に軍配が上り日本の面目を守ることができた。男子型2段以下決勝は長崎勝と岩本篤人の日本人対決を長崎が制した。女子型の部は、3段以上の部で長尾悠子が、15−17才女子では森谷美砂が、見事な演武で会場を魅了し優勝した。

また個人組手の部で日本は破竹の快進撃を見せた。長崎勝、斎藤彰宏、橋山晶洋、藤原義家、長尾悠子、桜井礼子、稲田優貴と立て続けのゴールドラッシュ。冨田昌洋も意地で準優勝をかざる。

女子団体型 長尾悠子 森谷美砂 稲田優貴 各選手

男子組手55−60kg級 長崎勝選手

女子組手無差別級 稲田優貴選手

  女子組手15-17歳決勝戦 稲田優貴選手 森谷美砂選手

大会のクライマックス!分解型組手と自由組手。

海外の大会で特に観衆の注目を集めるのが、分解型組手である。この種目は特別にステージ上にマットが設置された。テレビカメラが選手達に狙いを定める中、各国とも息の合った絶妙の攻防を繰り返す大混戦。この大舞台で新税の山田健剛・岩本篤人組がベテランの和田賢一・冨田昌洋組を抑え、優勝を飾った。

さて、もうひとつの花形競技である自由組手は、日本人選手が出場していない−80kgでは地元オーストラリアのクレイグ・ソリーが順当に優勝。+80kg決勝では、本命南アフリカのフランク・ブランドンをナミビアのレオナルド・マーチンが下しうれしい初優勝。
 今大会、日本チームは若手の台頭著しく、その下には今回大活躍したジュニア選手達も控え、まさに底辺の広がりを象徴する結果になったことは、非常に明るい材料である。

こうして3日間にわたって行われた世界大会は幕を閉じた。会場のあちこちで見られた子供達同士の交流、数年振りの再会を喜び抱き合うベテラン選手達、プレゼントの交換と記念写真。空手道を通じて芽生えた友情は、人種や宗教を超えた固い絆に結ばれていることを確信できた素晴らしい大会であった。

第3回空手道剛柔会世界大会  国別メダル獲得表

国名    金    銀    銅    計
日本 22 12 9 43
オーストラリア 7 3 18 28
南アフリカ 3 12 21 36
フィリピン 2 3 2 7
インドネシア 2 2 3 7
イギリス 2 1 0 3
ハンガリー 2 0 4 6
スイス 1 3 3 7
ナミビア 1 2 2 5
ウルグアイ 1 1 4 6
ドイツ 1 0 1 2
モーリシャス 1 0 0 1
イラン 0 4 5 9
インド 0 2 3 5
タイ 0 0 2 2
オランダ 0 0 1 1
合計 45 45 79 169