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大会結果一覧

大会出場者の感想


長谷川行光選手による大会日誌
1月2日(日本〜アメリカ着)

1月2日(アメリカにて)

1月3日(大会前日)

1月4日(大会当日)

 8時会場入りの為、6時30分起床。7時にバイキングにて朝食(2人で$30)
 ここで調整ミスが起こった。睡眠不足である。ここは砂漠地帯。かなり乾燥している。部屋で手洗いしたTシャツが1晩で乾くほどだ。バスタブにお湯を張るなり、乾燥対策を行うべきであった。やはり同じ症状で眠れない人や喉を痛めた人が何人かいたようだ。

 みんなで軽いアップの後、各自調整。競技は古武道の部から開始。そして先陣を切って女子形の部が始まった。
 16名のエントリーの内、日本人が若林春日、豊見城あずさ、嘉手納由絵、長尾悠子、佐野喜子の5名。いずれも全日本や国体でお馴染みのトップ選手。若井選手は不参加だが非常にハイレベルな戦いが予想され、勝敗の行方に誰もが息を呑む。個人での新ルールはほとんどの選手が初めてであり、その緊張感は選手を見ていてもはっきりと感じられる。
 1回戦指定形を順調に通過。ベスト8でいきなり日本人同士の争いとなる。まず嘉手納vs豊見城の沖縄対決は同じ得意形のアーナンでの対決。2−1で嘉手納の勝ち。続く長尾(スーパーリンペイ)vs若林(トマリバッサイ)は2−1で長尾が。準決勝は長尾(クルルンファ)vs嘉手納(スーパーリンペイ)は3−0で長尾が勝ち決勝へ。3位決定戦は敗者復活戦で勝ちあがった嘉手納vs若林で行われ、2−1で嘉手納が勝ち3位入賞を果たした。カムサムニダ!
 別パートの勢いのある佐野は準決勝で前年度優勝者でアメリカの新井順子に敗れたが、3位入賞を果たす健闘ぶりを見せた。
 決勝に進出した長尾と新井の決勝戦は時間をおいた夜7:00からであった。中央コートに席を設け、選手を観客が取り囲む。かわいらしい少女による国家斉唱(演奏なしで)の後、ファイナル出場選手の紹介。アメリカ人は決勝の模様を厳粛に捉え、静かに観戦している姿は意外であった。
 選手入場時、音楽を取り入れたり、スポットライトを使用するなりすればもっと盛り上がるように思う。この辺は日本的な感覚なのか?

 長い式典が終わり、各種目ごとのファイナルが始まった。
 まず最初に長尾の演武。なんと初披露となるアーナンである。対するアメリカ新井はチャタンヤラクーサンクーで挑むが3−0で長尾が見事優勝。
 長尾は新ルール対策の為、劉衛流のアーナンを昨年秋より取り入れ今大会に望んだ事が、功を奏した。これからは新ルールという中で試合をする場合は、持ち形と演武の駆け引きを考えなければならない!

 続いて男子形。
 日本からは松元和成、窪田勇一、長谷川行光の3人が出場。こちらも国体などで活躍する選手である。エントリー21名。
 くじのいたずらか、2回戦のベスト16でなんと早くも日本人同士の潰し合いがあった。長谷川vs松元は共にセイエンチンで挑み3−0で長谷川が。ベスト8進出の長谷川は対アメリカ戦を3−0で完勝。続く準決勝、対アメリカは体形を生かしたアーナンに対し、長谷川はチャタンヤラクーサンクーで対決。2−1で勝ち。決勝進出。敗者復活にかける松元はローハイを演ずるも1−2の惜敗。辛い判定に涙を飲む。
 別パートの窪田は2回戦ペルーと1−2で惜敗。結局ペルーの選手が決勝へ。この選手はペルー・ナショナルチームの選手で世界大会では常にベスト8入賞の強豪である。窪田選手は敗れはしたものの、世界のレベルに手ごたえを感じたという。
決勝戦はペルーの勢いのあるウンスーに対し、長谷川は得意の松村派バッサイ。持ち味である切れとスピードをうまく表現でき、できはまずまず。うれしい男女アベック優勝を飾った。

 女子形の14−15才3年以上に出場の濱垣風舞はその堂々たる演武で他を圧倒。順当に決勝までコマを進める。このカテゴリは得点方式。ところが決勝ではアクシデント発生。明らかに採点の計算ミスで本来優勝のはずが2位の判定。西村コーチも抗議するも、証拠不十分で却下。判定はくつがえらないとの事。なんとも後味の悪い結果となってしまったが、選手同士は分かっているようで、本人もいたって冷静に受け止めていた。すばらしい精神力である。そしてきっと次回は頂点に立つ事を信じているよ。
 がんばれ風舞!

 女子組手は−60Kg出場の薮田紀代美選手が順当に勝ち進み決勝へ。
 決勝戦はアメリカのキム・ヘンダリクソン。シーソーゲームの末、持ち前の粘りで勝利し涙の金メダル。続く相田みゆき、小笠原万記、島崎貴子選手は2種目に出場し、それぞれ健闘した。
 まず小笠原万記は+60Kg級では惜しくも2回戦敗退。その悔しさをオープンにぶつける。
 準決勝にて相田に勝ち、決勝進出。決勝戦では昨年の第16回世界大会優勝者で地元のヒロイン、エリサ選手との対戦。エリサ選手の絶妙な中段カウンターをものともせず、勇猛果敢に攻めるも、一歩及ばず惜しくも準優勝。「自信をもって積極的に」を自らの課題とし謙虚な姿が今後の活躍に期待される。
 相田みゆきは−60L級にて堂々の3位入賞。続くオープンでは準決勝にて、先に記述した小笠原万記(準優勝)と対戦し敗れ、結局3位決定戦も敗れるも、「尊敬する先輩と試合ができて良かったです」ときっぱり。唇を切りながらもガッツあふれる試合内容が印象的であった。
 島崎貴子は−60級では2回戦敗退するもオープンで健闘を見せる。ベテランの味を生かし、また新ルールに対する攻撃のスタイルが進化しているように感じた。時代の流れを一早く察知し、取り入れるという姿勢が大事だなと、改めて勉強させられた。見事3位入賞。これで女子組み手は全員メダル獲得という、すばらしい結果を残した。

 続いて男子組手。
 まず、14−15才1〜2年クラスに出場の中川俊明は西村コーチのお弟子さんでもあり、初心者ながら、海外デビューの晴れの舞台で見事3位入賞。将来が楽しみな選手である。
 −70Kgには、阿部恭久、小楠広太が出場。32名エントリーの激戦区。
 小楠は惜しくも2回戦敗退。
 阿部は冷静な試合運びから準決勝まで進んだが、前半許したポイントを後半の巻き返しもわずか及ばず1ポイント差にて涙を飲む。5位。
 −80kg出場の芝川達也は久々の国際大会に気合が入るが2回戦敗退。敗者復活戦にてセミファイナルにて惜敗。5位。
 +80kg出場の国分利人は体力は海外選手と互角以上の試合をしたが、3位決定戦で惜敗。
 「今回はコンビネーションと集中が課題」と次回に意欲を燃やす姿に期待したい。

 その晩、大会打ち上げを日本食レストラン「市座」にて行い、労をねぎらった。さて、ラスベガスといえば何といってもカジノ、一流エンターテナーショー、グランドキャニオン、ショッピングetc...この眠らない町で残りフリーの2日間を参加者は存分に満喫したようだ。これが楽しみの一つでもあるのだ。
 みなさん、カードの使いすぎでは・・・?

《本大会を通じて》
 エンターテーメントの町ラスべガスにおいての大会は出場した選手が皆、もう一度訪れたい国であり、大会の趣向も興味深いとの意見が多かったようだ。
 試合だけに限らず、肌でその国の文化を学び得るにはこのような条件の合う場所はそうないと思う。
 初対面の人たちも多かったが、コーチと選手、そして応援団が一体となってチームを築き上げた成果が良く現れた大会だったと思う。
 これだけの人員をまとめあげ、選手にリラックスさせのびのびと試合ができたのも西村コーチの人柄と持ち前の人脈のおかげであると感謝します。
 また、日本チームの為に応援や、ビデオ撮影、写真撮影など率先して頂いた応援団の濱垣御夫妻、宝来兄弟(ラッキーリップをありがとう)また経費の取りまとめをして頂いた大堀さん、吉村さん。そして市川工務店の応援も非常に心強かった。
 このような皆さんの協力があってこそ成功した遠征であると思う。
 選手を代表してお礼の言葉を述べさせて頂きます。
 今回、勝った選手も惜しくも敗れた選手も心の中に得た収穫は計り知れない物があるはずです。それを次回につなげ、これからの空手に生かすことは我々の使命であると感じます。
 新ルールという変革期の中、前向きに国際大会に出場した選手にとっては大変意義ある遠征でした。
 また機会がありましたら、ぜひまた皆さんと参加したいと思います。