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トレーニングとは何か?

 前回までの特別連載で、アメリカ空手界の現状と、フットボール界における筋力トレーニング方法の研究報告と日本選手の今後の課題などを述べたがそのアメリカ研修の成果を生かすべく、今回から一年間という長期連載を担当することになった。

 これから12回にわたり日本選手に求められているパワーとそれに伴うスピードのトレーニング方法、また世界大会で多用されている最新テクニックを分かりやすく紹介していきたいと思っている。

今回はトレーニングとは何か?を中心とするが、メニューとしては

Vol.2 道場での人を使った(負荷をかけて)アイソトニック、アイソメトリック
Vol.3 マシンを利用したウエイトトレーニング
Vol.4 スピードトレーニング
Vol.5 フットワークトレーニング
Vol.6 反応トレーニング
Vol.7〜12 技術編(対外国選手も含む)

以上のような内容で連載予定である。

全国の空手マン&ウーマンの諸君!ぜひ最後までお付き合い頂きたい。

アイソメトリック(等尺性収縮)

これは筋肉の長さを変えないように、一定の長さに保ったまま筋肉を緊張させる方法で、関節運動から見ると関節角度は変わらず、動作が外部に現れず、筋肉が発揮されている状態である。したがって静的筋力トレーニングとも言われる。
アイソトニック(等張性収縮)

これはある重量物を抵抗にして関節角度を変えながら行なう運動で、筋肉が抵抗物に対して反する力を発揮しながら長さを変える方法である。これは動的筋力トレーニングとも言われ、ウエイトトレーニングはこの種のトレーニングの別名でもある。

効果的トレーニングを行うには
 空手道競技が国際化して世界のKARATEとして親しまれている現在、日本人よりも体格、体力的に優位にある欧米の選手が積極的にウエイトトレーニングを取り入れ、筋力、パワーの強化を図っている。トレーニング環境の違いはあるけれども、今後の日本人の研究課題であることは間違いない。

 ではいかに効果的にトレーニングを行えばよいのか?それも空手道競技に役立つものでなければならない。まず、筋力トレーニングの原則等を知らなければならないが、『継続は力なり』の精神を守ることが前提である。技術は練習において養われる。例えば自転車に乗れる人は何年たっても乗れるもので忘れるものではない。しかしながら、筋力、体力は日々のトレーニングを通じてしか高められない。この両立を図るためにも綿密な計画と実行が必要なのは言うまでもない。要はやる気と根気に楽しさを加えていくことが大きなポイントである。

まずはトレーニング計画から!
 空手道競技大会は5月から12月までに行われることが多いのでシーズンオフに筋量、筋質、持久力などの自分の欠点を見つけ鍛え直すことから始めよう。

 筋力トレーニングといっても目的によって様々あるので、良く考えて頂きたい。例えばやせていて当たり負けする選手は筋量を!太っていてもパワー不足の選手は筋質を!スタミナ不足の選手であれば持久力を!それぞれアップするように目的を明確にすることが取り組みやすい。

 次に、何度も言うが継続すること。プロフットボール選手などはオフに作り上げた最大筋力を移動の多いシーズンの中でも週2回の筋力トレーニングを行ないキープしている。参考例として、現在、福岡大学空手部の監督を務めているいるので、そこで行わせている一週間の練習計画を(表A)掲載する。シーズン中の練習メニューであるが、筋力トレーニングは上半身と下半身に分けて、休養を充分に与え、やりすぎに気をつけている。

 大切なことは、あくまでも空手道の競技力アップのためのトレーニングであって、筋力だけのトレーニングに偏らないことだ。また空手道は全身運動なので総合体力(筋力、持久力、柔軟性、平衡性、協応性、敏捷性など)をバランス良く高めることである。表Aでは筋トレと空手練習を同じ時間につないでいるが、できれば一定の時間を休養に当てたほうがメリハリのある練習になるだろう。

表A 福岡大学空手道部週間練習計画
07:30

08:30
※早朝練習
●筋持久力、スタミナ養成、肺活量アップトレーニングを目的とする。
◎ランニング5〜10キロメートル
◎ダッシュ50メートル5本(坂道などを利用)
◎グラウンドにてフットワークトレーニング各種






12:30

13:30
※ビデオ研究会&巻藁練習
●ビデオによる研究と巻藁サンドバッグによる決めのトレーニングを目的とする。(格闘技全般のビデオを用意)
◎自分の授業の合間に時間を見つけ自由参加とする。しかし、週最低4日は参加すること
◎特に毎週月曜日はトーナメントを行なうので自分の欠点、長所に対する研究をする。
16:30

17:30

18:30

19:30
●スピードトレーニング(多種多様)フットワークを含む
●基本、移動基本、コンビ基本
●コンビネーション、打ち込み掛かり稽古
●学内トーナメント
(各種)
★ハンディキャップ
★座席決定戦
★学年別団体戦など
●型グループによる形披露
●西村指導日
●筋質、筋量の為のアップトレーニング(上半身)
●基本同じ
●A/Bグループ別練習
●テーマ練習
●反省会
●型グループによる披露
●スピードトレーニング(反応トレーニング)
●基本同じ
●型練習日
基本型
天地型
ビンアン形
サイファー
セイファー
セイエンチン
バッサイ大
チントウ
セイシャン
●西村指導日
●筋質、筋量アップトレーニング(下半身)
●基本同じ
●A/Bグループ別テーマ練習
●ミットによる当てる練習
●一つ技徹底練習(新しい技を何度も体が反応するまで徹底する)
●スピードトレーニング(縄跳びジャンプ)
●基本同じ
●技術練習手技、足技の研究 世界の技の流れを研究し会得する
●西村指導日
●筋力トレーニング(上半身)
●基本
●A/Bグループ別練習
●得意技練習
●元立ち練習

●練習時間
13:00

16:00
19:40

20:30
※2週間に一度の定期ミーティング会(月曜日とする)
●各個人の取り組み姿勢における反省および今後のテーマ
●最新の行事に対する打ち合わせ
●全日本制覇に対し現在の反省および今後のテーマ など

トレーニングの原則!

絶対に正しいというトレーニングはないので基本的なものを述べてみたい。

@筋力(筋量)養成
高負荷・低回数方式(最大筋力の75〜85%で5〜10回繰り返せること)

Aパワー(筋質)養成
中負荷・中回数・高速度方式(最大筋力の60〜70%で15〜20回繰り返すこと)

B筋持久力養成
低負荷・全身運動・長時間方式(最大筋力の40〜45%で35〜45回繰り返すこと)

筋力養成には漸進的過負荷の原則があり、これは回数と重量を増やしていくことだが、あせらずに正しいフォームを保たなければならない。3セットを目安とする。また1日の筋力トレーニング時間は60〜90分に押さえ集中して行なうべきで、空手道の練習に影響が出てはならない。もちろん記録を付けることは目安となりやりがいが出てくる。

次号からは表Aの各種トレーニングを写真を豊富に使い、分かりやすく紹介していく。