和道会の中央技術本部長、技術委員会委員長を歴任された高木秀穂先生が、8月14日にご逝去されました。享年76歳でした。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

《大学生の時、初代・大塚博紀先生に認められる》

高木先生は、昭和17年(1942年)、中国の山西省太源で生まれました。
幼少期を中国で過ごされ、昭和20年(1945年)に終戦を迎えます。お父様が軍医中将だったため、戦後は、収容所で暮らしていたそうです。

小学4年生の時に、中国にお父様を残し、日本へ引き揚げてきました。
高木先生が空手を本格的に始められたのは、日本歯科大学に入学してからです。有本富英先生に師事し、指導を受け、初代・大塚博紀先生に認められました。大塚先生と共に各地を訪れ、その先々で模範演武の相手をされたそうです。

高木先生は、日本国内だけでなく海外にも請われて、指導に行かれました。

告別式には海外からもお弟子さんが駆けつけ、またたくさんのお悔やみのメールが届けられました。

《点滴を受けながら指導を続ける》

高木先生は2年半前に体調を崩されました。  
それから月に7日間入院して点滴を受け続けながら、各地区で開催される和道会技術講習会において指導を続けてこられました。

特に一級指導員には和道の技術を正しく受け継いで欲しいとの思いから、厳しく指導をされていました。高木先生は常々、「習った人はそれを正しく伝承する義務がある」とおっしゃっていました。

講習会では初代・大塚博紀先生との思い出も語られました。

高木先生は和道の技術と精神を後進に伝えるために、生涯を通してご尽力されました。ここに高木先生が残された言葉をご紹介いたします。

《高木先生の言葉》

「大塚先生は、『習うことは、伝承する義務がある』といわれました。和道には大塚先生のアイディアがたくさん含まれています。このアイディアは聞いただけではわからない。稽古を通して汲み取っていただきたい」。

「大塚先生の最後のお言葉は、『くそっていう気持ちをなくしてはだめだよ』です。審査を受けて何回も落ちる。こんなものか、と思うか、『なにくそ、他人ができることは自分にもできる』と思うのか。簡単にいかないから、難しいから続けられる。文化というのはそういうものです」。

「和道を守るのではなく、前進させるつもりでがんばっていただきたい。将来、より良い和道があるよう、努力してください」。


今年2月に行われた技術講習会で指導される高木秀穂先生

高木秀穂先生《段位・役職》
・和道会八段
・全日本空手道連盟公認八段 範士
・和道会技術委員会委員長
・全日本空手道連盟一級資格審査員
・偶成会高木道場 最高師範
・日本武道館武道学園講師
・豊島区空手道連盟会長