ケガ対策からジュニア選手の燃え尽き防止まで「第25回ワークショップ空手道医学セミナー2026」開催

取材ルポ
午後の総合討論

3月7日(土)、日本武道学会空手道専門分科会による「第25回ワークショップ空手道医学セミナー2026」が日本空手道会館(大会議室)で開催され、オンライン参加の5名を含む50名が参加しました。

開会の挨拶に立った鈴木浩司先生(専門分科会会長・公益財団法人全日本空手道連盟医科学委員会委員長)は、「空手を科学する」をテーマに掲げた背景について言及。空手は現場で継承されることが多く、科学的な分析や記録としてかたちに残す取り組みは十分とはいえなかったと説明。その上で、自然科学分野にとどまらず、人文・社会科学の視点も取り入れ、異なる分野の研究者や指導者を巻き込みながら、活動のさらなる発展を目指す考えを示しました。

午前の部は「空手道競技の安心安全を考える」、午後の部は「シニア世代での成功を導くジュニア世代の教育・育成」をテーマに、計7講演が行われました。

講演の中で、NPOスポーツコーチングアカデミア代表理事・全日本柔道連盟参事の石井孝法先生が「『当たり前』を疑い、未来のための責任を持つ――長期育成指針の本質的価値」と題し、柔道界での取り組みを紹介しました。
〈常識とされてきた英才教育モデル〉
早期開始→単一専門化→集中的練習
〈現実〉
若年期にトップレベルだった選手の9割は、成人期にトップレベルに残っていない。
〈新しい取り組み〉
多様な分野の探求と多角的な練習を取り入れ、遅咲きの選手には成長の時間を確保し、現在の結果よりも将来性を評価する。

この他、東京2020オリンピック空手競技女子形銀メダリストの清水希容先生による特別講演、全空連学校武道推進委員会委員長の小山正辰先生によるランチョンセミナーが行われました。

また、参加者から問題提議があったジュニア選手の燃え尽き防止についても議論が行われ、「選手自身が主体的に選択すること」の重要性が共有されました。
専門部会副会長の三村由紀先生は、自身の経験として「小学5年生で初めて日本一になって以降、勝ち負けを繰り返しました。冬は田んぼでスケートをしたり、空手を続けながらサッカーやクラシックバレエにも取り組み、中学ではバスケットボール部に所属。結果的に最後に空手が残りました」と語りました。

講演1「スポーツ医科学と空手道」 秦 光賢先生
講演2「肩関節の障害と予防」 元野紘平先生
講演3「デフ空手道競の大会に参加して」 鈴木浩司先生
講演4「『当たり前』を疑い、未来のために責任を持つ−−長期育成指針の本質的価値」 石井孝法先生
講演5「ジュニア世代の情報戦略とシニア世代へのパスウェイ」大徳紘也先生
講演6「育成世代の野球選手におけるフィジカルとの向き合い方」 伊藤翔太先生
講演7「シニア期で活躍するためのジュニア育成」 江田香織先生

各講演の要旨については、4月23日発売の『JKFan6月号』でご紹介します。

清水希容先生。2017年3月のプロ野球開幕戦の始球式で着用したユニフォーム(大会議室に展示)


NPOスポーツコーチングアカデミア代表理事・全日本柔道連盟参事 石井孝法先生の講演


参加者のみなさん

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