2002年初めにヨーロッパ空手界の中心、フランスでの63ケ国参加する第5回オープン・ド・パリ国際大会に参加してきましたので、ニュールールに対する選手の攻防技術の変化と対応策を述べます。この記事を選手諸君が少しでも理解し、今後の競技大会における技術向上に役立てていただければ幸いです。

1、崩し、投げ、足払いの利用度がアップしている。
 崩しの三種類の使い方があり多用されていた。

    1)自分から待っている相手に対する崩し→寄り足を使い、アウトサイドから前拳を抑え袖を引っ張り、足を掛 けている。
    2)お互いにぶつかった後の間合いが詰まった状態での投げ→お互いに膠着して組み合う状態から投げ技を仕掛 けると、投げて相手に対して攻撃まで主審は待っているので多くの選手が最後まで相手を崩し、また投げてい る。気を抜いて審判の止めを待っている選手ほど掛かっている。
    3)吸い込みの崩し→相手の攻撃をかわし、吸い込んで足を掛け、腕または胴体を掴み投げている。
    対応策 相手の技術を知らない事が、欠陥でなすすべもなく綺麗に投げられていた。特に3本のポイントなるので、相手にクリンチして主審の止めを待つより、効果があるので日本選手もまずは練習すべし。足癖を悪くする事である。日本の大会では止めが比較的早いのでクリンチしてからの対応がお粗末である。柔道の掛け返しと同じに掛けられた瞬間、利用して投げ返す事も出来る。

2、中段と上段に対する蹴りの多用

    中段に対する回し蹴り→2ポイントとなる中段に対する回し蹴りは、後ろ足での遠い間合いでおいて、相手の背中面まで届く程、思い切り蹴っている。肘受けで対応したいが、肘がちょうど切れる腰との間に対して狙っているので、また力強く蹴ることでブロックがつぶれており、背中面での当たりの時音がするので効果がある。
    上段蹴り→以前より3ポイントになりやはり利用度が多い。ただ、遠い間合いからでは決まらないので相手が攻撃する瞬間の回し蹴り、裏回し蹴りがより極まっている。
    対応策 ゼロの間合いからでも裏回しを使い、蹴ってくるし、合わせ技として使うタイミングが旨い選手がヨーロッパには多い。少しくらい当たっても相手が倒れていなければポイントになるので思い切り蹴ってきている。また膝が体の中で変化しているので受けにくい技となっている。対応としてはやはり手を挙げてブロックした構えで常時いることと、突きだけの技だけでは相手に見切られているのでひとつでも蹴りを身につける。

3、フットワークのリズム

    前後左右に動くリズムに、新人選手は惑わされている。慣れてくれば攻めの間合いは動こうが一緒なので、落ち着いて対応できるが、日本国内にはないリズムで動くので海外での試合で現地で相手の合わせて動き出す日本選手が多い。
    対応策 遠い間合いの選手に対して、詰めていくリズムを掴む事。それには強力な下半身の強化が必要で、空間移動の距離が長く対応できれば怖くないが、バタバタ足では届かない。瞬発力、反応能力、の養成が必要。


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