1 ステップリズム

一見、ただ上下に飛んでるようだと言われる方も居るが、途切れない動きをすることで居付きを防ぎ、前後左右リズミカルに動いている。足の位置を前後にすることで、攻撃パターンが増え、相手にも何時でも対応するべく動きが止まらない。日本選手のは現地入りし少しは相手に合わせて、動いて対応するが攻撃の時は、居付いて居るので堅い動きとなり、相手の出鼻の餌食となる。今回、右構えの良い選手が増えているようである。日本人の得意とするじりじりと間合いを詰めていく一発集中突きも、世界に行けば中々通用しない。要は相手のリズムに乗るのではなく自分のリズム作りを行うことである。

練習内容
シングルシャドー・パートナースパー・ブロック&アタックスパー・ミットスパー
まず足の動き(ステップ)を、長時間動く練習を取り入れること。生半可な練習では身に付かないし、動かない動きが、脚力の無い選手には楽なので、居付いてしまう。フリースパーリングの組手時間を増やし、パワー的には20−50%のパワーでやることであろう。ウォームアップとしても使える。特に縄跳びトレは是非取り入れる。
2 膝の柔らかさ
この点が、優れている為に遠い間合いで動き、日本人選手が相手を捕まえられない点である。また、中段蹴り、上段蹴りの間合いでもある。良く、アドバイスとして間合いを詰めて、出鼻を取れといったアドバイスをする。選手もそれにしたがって突っ込んでいくが、上体が泳ぎ、手打ち,あるいは初動が、見えるので逆に出鼻を食らっている。膝が柔らかいという事は、対応能力の幅が広いということなので、手足の長いヨーロッパ選手は間合いを動かす事で、相手の詰めをはずし、自分の間合いを探り、一気に入っていく。そのためにも膝の柔らかい動きが必要となっている。
練習内容
コートステップ・ブロック&アタックテクニック・上下の打ち分けテクニック
上記のステップワーク強化と関連するのだが、日本人の踏ん張る基本動作が、形の演武では必要となっているが、組手では居付きに繋がるのでなかろうか?もっとボクシングの基本動作練習のように、試合そのもので使えるフォーム、動き、スナップ、構え、を練習すべきではと思う。組手上級者のやるべき、組手応用基本動作として考慮して見てはと思う。パンチミット、サンドバック利用して打ち込めばわかるが、連続出来る動作と言うのは、動きが止まらない。そのようなトレーニングを取り入れること
3 リラックス
このリラックスが不足していたのが日本人選手だった。出場選手アンケートからも、もともと持っている能力を出し切れないまま、負けて後悔している選手が多い。いかにリラックス出来るか?いかに相手を呑んで、試合の3分間をリードできるか?大切な部分である。日本人は闘志、気迫、充分であるが気負い、空回り、緊張に繋がっている。その点では、スター選手のように独自のムードを作り出している選手が、上位入賞者には多い。
練習内容
ビデオ研究・イメージトレーニング・指示トレーニング
リラックスと言うことは、精神が体をコントロールするので、大会必勝と考えるならば、自分の優勝したい大会と同じ雰囲気の大会に、数多く出場し、心と体を大会に慣れさせることである。練習試合では味わえない物が大会にあるという事を再認識する必要がある。
4 飛びこむスピード
これは、直線であれば日本人も早い、ただ、ワンツウ-だけなので怖くないと言っている海外選手の声を聞く。確かに、蹴りとのコンビネーション、足払いでのコンビネーション、回り込むスピード、大きな中段突きなどがある選手のほうが、ステップを使った遠い間合いでの戦い方に有利である。飛び込むスピードが優れていても、スタートする地点が違っていれば、相手に見切られてしまう。何度も揺さぶって、相手の隙をうかがうやり方で、戸惑いを見せたとたん、飛び込むことをヨーロッパ選手は心掛けているようだ。
練習内容
四方打ち込み(だんだんと遠い間にしていく。)突き&蹴り&コンビネーション
割合に手足が短い日本人なので、一気に入るやり方は手足の長い、懐の深い外国選手には、有効である。そのためにも、瞬発力強化、強い蹴りを両腕ブロックできる上半身の筋力強化、長い間合いを一気に飛び込める脚力強化が更に必要である。その上で上記の間合い、膝の柔らかさ、などが加味されてくる。
5 蹴りテクニック
これは、全てにおいて、見ての通りふたまわりも日本人選手のテクニック自体が遅れている。
練習内容
多用されているキックバリエーション

国内ルールに文句をいっても仕方が無い事であるが、蹴りテクニックを使っても、過剰反則の罰則、蹴りの極め基準における審判の判断ミス、指導者の出来ない事による指導不足、などで蹴り技術が発達しにくい日本国内大会ルールである。当然、突きだけよりも蹴りとの併用があれば、戦術の幅も増えるのであるから、まずは練習し、習得すべし。

6 伸びる突き
膝の使い方が、やわかな動きをする為に、突きの伸びが髄分良くなってきていると感じた。日本人のワンツーよりも伸びているのでないか?また、以前と違って手打ちではなく、しっかりと拳先に体重を乗せているので、結構重たいパンチである。リラックスしている分早く反応して、中段を打ち返している。
対応策
多用されているパンチバリエーション
パンチングミットなどの当てるトレーニングの応用を取り入れることで、極め、脱力、連続が上達する。

#今回も参加選手にはノートを持参させてください。
#ハンドミットを二組に1セット用意して参加ください。


福岡大学監督・ナショナルチームコーチ
西村 誠司